課題演習DA(地震):(3) 本物の地震のデータから震源決定

【注意】 本ページは、PandAの前期課題演習DAのコースサイトから、仮想端末VDIでLinux(ubuntu)を利用することを想定して記載されています。

1. 高感度地震観測網 Hi-netデータを取得するためのユーザー登録

Hi-netデータを取得するためにはユーザー登録が必要です。 以下のユーザー登録サイトに接続し、ユーザー登録を申請してください。 ユーザー登録には、数日かかります。

「ユーザー登録」

2. Win32形式のデータを使用するためのプログラムをインストールする

LinuxにあるWWWブラウザ(FirefoxChrome)で 次のURLのHi-net高感度地震観測網
https://www.hinet.bosai.go.jp/
に接続して、「登録ユーザーサイト」にログインしてください。
もしChromeを使って文句が出たら、Firefoxを使ってみてください(逆も同じ)。

「マニュアル/ツール」をクリックし、その先のページから「Win32ツール」を ダウンロードしてください。その後、Linuxの端末(Terminal)で次の作業をしてください。

(1) まず、win32tools.tar.gz を探してください(おそらく、~/Downloads の中にある)。 みつけたら、 home directory にコピーしてください。

(2) home directoryで

gunzip win32tools.tar.gz
tar xf win32tools.tar

を行ってください。新しく win32tools という名前のdirectoryが出来ているはずです。

(3) 次に

cd win32tools

で移動したあと

make

と入力して実行してください。 wch_32, wchch_32, wck_32ができてないというメッセージが出ますが無視してください。

(4) emacs,gedit,vimなどのテキスト編集ソフトで、Makefileというファイルを開き、 その中の install の部分にある
/usr/local/bin を ./bin に変更します。
その後、

mkdir bin
make install

このあと、cd bin で移動したあと、ls でリストをみて、dewin_32 があれば成功です :-)。

3. 高感度地震観測網 Hi-net の熊本地震のデータをダウンロードする

次のURLのHi-net高感度地震観測網
https://www.hinet.bosai.go.jp/
の「連続波形データダウンロード」へ。
組織に「防災科学技術研究所」、観測網に「Hi-net」を選択し、 開始時刻と時間長を指定して、データをダウンロードします。

2016年4月16日に起こった熊本地震の本震(気象庁マグニチュード7.3)、 もしくは、 2016年4月14日に起こった熊本地震の前震(気象庁マグニチュード6.5)の 好きな方を選んで、少なくとも、どちらか一方を調べてください。 余裕のある人は、両方を調べてみてください。

【熊本地震の本震の場合】
2016年4月16日 01:25 から1分間

【熊本地震の前震の場合】
2016年4月14日 21:26 から1分間

tar.gz形式の圧縮データを取得した場合は、上の(2)と同じように解凍してください。
zip形式の圧縮データを取得した場合は
unzip *.zip
で解凍することができます。

解凍すると、*.cnt *.ch などのファイルができます。 *.ch のファイルはテキスト編集ソフトでみることができます。

4. Win形式のデータをGNUPLOTが使えるアスキー形式のデータへ変換する

*.ch のファイルの中で、使用する観測点および成分を探して、 そのチャンネル番号(ID)や観測点の緯度と経度をみつけます。 解凍したファイルの readme.txt にファイルの見方がありますが、 チャンネル番号(ID)は一番左の英数字、緯度と経度は右端(各行の終わり)の方にあります。
例えば、 N.ASVHという観測点の U成分(上下動成分)のチャンネル番号(ID)は、6b33 です。

この情報をもとに、例えば、本震の場合、端末(Terminal)で

~/win32tools/bin/dewin_32 -c 6b33 201604160125*.cnt > ASVH.U.ascii

とすると、 ASVH.U.asciiという名前のファイルに、観測点 N.ASVH の U 成分がGNUPLOTで表示できるアスキー形式のデータとして取り出せます。 ファイルの中身は、1列の数字の列で、最初のデータの時刻は、ファイル名が 示す時刻です。データのサンプル間隔は、0.01秒です。

同じようにして、必要な観測点の、必要な成分のデータを、ファイルに とり出すことができます。

ここでは、次の観測点の U(上下動)を使ってみます。 ただし、前震を調べるときは、N.KHKH は除きます。
N.ASVH
N.HKSH
N.KHKH
N.KKCH
N.MSIH
N.MSMH
N.TMNH
N.TYNH
N.YABH

5. アスキー形式のデータをGNUPLOTで表示してP波初動の時刻を読む

端末(Terminal)で
gnuplot
と入力すると、gnuplot>というプロンプトがでてきます。そこで
plot 'ファイル名’ w l
とすると、ファイルの中のデータが画面に表示されます。

縦軸がファイルの中の数字の値です。一方、自然数の横軸は、何番目のデータ(数字)かを示しています。データ間隔の0.01秒をかけると、先頭データからの時間(秒)になります。

GNUPLOTを使って画面に表示し、各観測点にP波の最初の揺れ(初動)が到達した時刻を読んでください。 また、P波の最初の揺れが、上下のどちらの向きへ揺れているかも 記録しておいてください。 最終日の【演習4】で使います。

<P波初動の到達時刻をGNUPLOTで読むときのtips>

☆GNUPLOTのplotで表示すると、グラフ枠外にカーソルの位置の座標が 数値で表示されます(多分、左下)。それをうまく利用してください。

◆x軸(横軸;時間軸)の範囲を変える
set xrange[A:B]
AからBの範囲をプロットする

◆x軸(横軸;時間軸)の大目盛りの間隔を変える
set xtics C
大目盛りの間隔をCにする

◆x軸(横軸;時間軸)の小目盛りの分割数を変える
set mxtics D
大目盛りをDつに分割して小目盛りをつける

◆図にグリッド(格子)をいれる
set grid

☆これらのあとに、replotとすると、指定した形式で図をプロットします

☆その他GNUPLOTの使い方もろもろは、 gnuplotの初歩 などを参照ください。

【演習3】 読みとった時刻をもとに、 【演習1ー2】あるいは【演習1ー4】で作成したプログラムを使って、 地震の震源の位置と発生時刻を自分で決めてみましょう。

<補足1>

観測点の位置は、緯度と経度で与えられています。 一方、作成したプログラムは、直交(直角)座標系を使っています。

観測点の緯度と経度を、直角座標系に変換するには、 国土地理院の 「測量計算サイト」 が使えます(熊本付近に適当な「系番号」を選んで使ってください)。 また、決定した震源の直角座標系の位置を、 ここで緯度と経度に変換することもできます。

<補足2>

日本列島の内陸で起こる多くの地震は 地殻(深さ0から約30kmぐらいの領域)のうちの 上部地殻(深さ0から約15kmぐらい) で起こっています。熊本地震もそのような地震のひとつです。 初期値の目安にしてみてください。

<補足3>

P波速度は 5.0〜6.1km/sぐらいを目安にしてみてください。