地震は、急激な断層運動によって起こります。 P波やS波には、地震を起こした断層運動の情報もはいっています。
断層運動から放射されるP波やS波の振幅や極性は、 断層から伝播する方向によって変わります。
下の図は、横ずれ断層が起こった場合、弾性論から予測される P波やS波の揺れ方の方位依存性を模式的に描いたものです。 (弾性論での導入を含め、 詳しくは「弾性体力学」「固体地球物理学A」などを聴講ください)
断層面にそって伝播するP波の振幅はゼロになります。 ずれの方向に垂直な面にそって伝播するP波の振幅もゼロになります。 この2つのP波振幅ゼロの方向(面)を境に、 P波の揺れ方は向き(極性)が変わります。
ずれにより圧縮するセンスにある方向(上図で緑の領域)には、P波は 断層から離れる方向(鉛直方向では上向き)にゆれます。 ずれにより伸長するセンスにある方向(上図で白の領域)には、 P波は断層へ近づく方向(鉛直成分では下向き)にゆれます。
このような関係を用いると、観測されたP波やS波の揺れ方 の空間分布から、どのような断層運動で地震が起こったかを 推測することができます。