観測波形を準備する:本堂で記録されたP波の変位波形をつくる
(Last Modified: December 1, 2008)

(1) P波が予想される時刻を含む3分間のwin形式ファイルをつくる

win形式のデータは /data/win/raw の下にあります。

1つのファイルが1分間のファイルになっています。 ファイル名は
西暦年(下2桁)月(2桁)日(2桁)時(2桁).分
であたえられています。 例えば、
08112315.42
という名前のファイルは、 2008年11月23日15時42分の1分間のデータです。

(2) アスキーファイルに変換し、gnuplotで波形をみる

遠地のP波は、鉛直に近い角度で地表に入射します。 P波は波線にそった変動をもつので、上下成分に大きくなります。 このことから、今回は、上下成分のデータを使用します。 winのチャンネル番号は、89F4 になります。

Kermadec地震のP波がはいっていることを確認してください。

(3) (1)のwin形式ファイルをSAC形式ファイルに変換する。

上下成分のデータを使用します。 winのチャンネル番号は、89F4 になります。 以下により、SAC形式ファイルへ変換します。

cp /tmp/win2sac .
”変換プログラムの実行形を自分のところへコピー”

./win2sac win形式ファイル名  89F4 SAC形式ファイル名

(4) SACを使える環境を準備する

ホームdirectoryの .bash_profile の中に

SACAUX=/opt/sac-59.48a/aux
export SACAUX
SACDIR=/opt/sac-59.48a
export SACDIR

の行を追加し、更に、PATH=の行の右の最後に :/opt/sac-59.48a/bin を加えます。

変更が終わったら

. .bash_profile

とすると、新しい設定が有効になります。

上記の変更や記述が既に .bash_profile にあるときには、 何もしなくてよいです。

(5) SACで地震計の応答関数を取り除き、地動変位のデータをつくる

まず、地震計の応答関数を与えるpole、zero、倍率のはいった

CMG40_BHZ.pz

という名前のファイルを作ります。

ファイルの中身は、

ZEROS 3
POLES 2
-0.1481 0.1481
-0.1481 -0.1481
CONSTANT 8.0e+2

です。

ZEROS 3は、ゼロ(zero)として(0.0 0.0)が3つあることを、 POLES 2とその下の2行は、 ポール(pole)として (-0.1481 0.1481) (-0.1481 -0.1481)の2つが あることを示しています。 倍率は、CONSTANT 8.0e+2 が与えています。

端末で

sac2000

とすると、SACが起動され、SAC>が、先頭に現れます。 以下を実行していきます。

SAC> r SAC形式ファイル名
”データの読み込み”

SAC> qdp off
”データの間引きをしない”

SAC> p1          
”データを画面にプロット” 
これは地震計が記録したデータです。
ここで、gnuplotでみた波形と同じになってるか要確認。

SAC> rmean
”平均値を引く”

SAC> taper        
”データの両端にテーパーをかける”

SAC> transfer from polezero subtype CMG40_BHZ.pz
"CMG40_BHZ.pzで表現される応答関数を取り除く”

SAC> lp co 1 n 4 p 2
"コーナー周波数1Hzの位相変化ゼロのローパスフィルターをかける”

SAC> hp co 0.01 n 4 p 2 
"コーナー周波数0.01Hzの位相変化ゼロのハイパスフィルターをかける”

SAC> p1
"これが出来上がり、地動変位の波形”
ここで、応答関数を取り除く前との波形の違いもみてください

◆ 出来たSAC形式の波形データを保存するには
SAC> w 保存先となるファイル名

◆横軸の範囲を変えるには、
SAC> xlim ??? ???    
”??? ???に変更したい横軸の範囲の最小値と最大値をいれる”

◆図をポストスクリプトファイルに保存するには
SAC> bg sgf
"画面に図を出す代わりに、f001.sgfというファイルに出力”

SAC> p1   
”注意:画面には図がでない”

SAC> bg x
”画面に図がでるように戻す”

SACを終了したあと、
cp /tmp/sgftops .
./sgftops f001.sgf ポストスクリプトファイル名
あるいは、
/tmp/sgftops f001.sgf ポストスクリプトファイル名
とすると、ポストスクリプトファイルができます。

◆阿蘇サーバーのポストスクリプトファイルをメディアセンターのUnixへコピーする
メディアセンターのUnixの端末ターミナル上で、

scp アカウント名@阿蘇サーバー名(あるいはIPアドレス):ポストスクリプトファイル名    コピー先のファイル名

とすると、パスワードを聞かれるので、それに答えればコピーできます。
もしパスワードを聞かれる前に、sshで接続するがよいかのような ことがでてきたら、yesを答えればよいです。

コピーしたら、メディアセンターのUnixの端末ターミナル上で、

ggv コピーしたポストスクリプトファイル名

とすると、画面に図が現れ、回転やサイズの調整などができます。

◆SACを終了するには
SAC> exit