観測波形を準備する:本堂で記録されたP波の変位波形をつくる
(Last Modified: December 18, 2018)

(1) P波が予想される時刻を含む5分間のwin形式ファイルをつくる

win形式のデータは

/home/seis/cmgdata の下、 日にちごとのdirectoryの下にあります。 directory の名前は、

西暦年(下2桁)月(2桁)日(2桁)

になっています。

そのdirectoryの下にたくさんのファイルがあり、 1つのファイルが1分間のデータのファイルになっています。 ファイル名は

西暦年(下2桁)月(2桁)日(2桁)時(2桁).分

であたえられています。 例えば、

18102515.42

という名前のファイルは、 2018年10月25日15時42分(日本時間)の1分間のデータです。

(2) アスキーファイルに変換し、gnuplotで波形をみる

遠地のP波は、鉛直に近い角度で地表に入射します。 P波は波線にそった変動をもつので、上下成分に大きくなります。 このことから、今回は、上下成分のデータを使用します。 winのチャンネル番号は、89F4 になります。

インドネシアの地震のP波がはいっていることを確認してください。

(3) (1)のwin形式ファイルをSAC形式ファイルに変換する。

上下成分のデータを使用します。 winのチャンネル番号は、89F4 になります。 以下により、SAC形式ファイルへ変換します。

cp  /home/seis/kuge/bin/win2sac   .
”変換プログラムの実行形を自分のところへコピー”

./win2sac win形式ファイル名  89F4  SAC形式ファイル名

(4-1) SACを使える環境を準備する(Cシェル版)

which sac

と入力し、/usr/local/sac/bin/sacが表示されたら、使用環境は整っています。
sacの在処が示されない(ありませんと文句をいわれる)場合、
printenv
と入力し、SHELL=のあとに、tcsh,csh,bashのいずれが表示されているか、 使用しているシェルを調べてください。

cshやtcshの場合には、以下を行ってください。 bashの場合には、(4-2)を行ってください。 sacの在処が示される時には、そのまま(5)へ進んでください。

ホームディレクリにある .cshrc を修正します。  修正する前の.cshrcファイルは違う名前のファイルにコピーして、 念のため、バックアップをとっておいてください。
cp .cshrc .cshrc.org

ホームディレクリにある .cshrc に以下の2行を加えます。

setenv SACHOME /usr/local/sac
source ${SACHOME}/bin/sacinit.csh

保存したあとで
source  .cshrc
とすると、新しい設定が有効になります。

.cshrcという名前のファイルがないときには、 新しく作成して、上の手続きを行ってください。

(4-2) SACを使える環境を準備する(bashシェル版)

ホームディレクリにある .bashrc を修正します。 修正する前の.bashrcファイルは違う名前のファイルにコピーして、 念のため、バックアップをとっておいてください。
cp .bashrc .bashrc.org

ホームディレクリにある .bashrc に以下の2行を加えます。

export SACHOME=/usr/local/sac
source ${SACHOME}/bin/sacinit.csh
保存したあとで
source  .bashrc
とすると、新しい設定が有効になります。

(5) SACでSAC形式ファイルの波形を画面に表示してみる

端末で

sac

とすると、SACが起動され、SAC>が、先頭に現れます。 SACを終わらせたいときには、qを入力してください。
以下を実行して、 作成したSAC形式ファイルの波形を画面に表示してみてください。

SAC> r  SAC形式ファイル名
”データの読み込み”

SAC> qdp off
”データの間引きをしない”

SAC> p1          
”データを画面にプロット” 

gnuplotと同じ波形になっていることを確認してください。

(6) SACで地震計の応答関数を取り除き、地動変位のデータをつくる

まず、地震計の応答関数を与えるpole、zero、倍率のはいった

CMG40_BHZ.pz

という名前のファイルを作ります。 一度、SACを終了させてemacsを起動してください。

ファイルの中身は、 (修正しました 2018/12/18)

ZEROS 3
POLES 5
-0.074 0.074
-0.074 -0.074
-1005 0
-503 0
-1131 0

CONSTANT 8.0e+2

です。

ZEROS 3は、ゼロ(zero)として(0.0 0.0)が3つあることを、 POLES 5とその下の5行は、 ポール(pole)として (-0.074 0.074) (-0.074 -0.074)(-1005 0)(-503 0)(-1131 0) の5つがあることを示しています。 倍率は、CONSTANT 8.0e+2 が与えています。

再度、端末で

sac

としてSACを起動し、以下を実行していきます。

SAC> r  上下動のSAC形式ファイル名
”データの読み込み”

SAC> qdp off
”データの間引きをしない”

SAC> p1          
”データを画面にプロット” 
これは地震計が記録したデータです。
ここで、gnuplotでみた波形と同じになってるか再度確認してください。

SAC> rtr
”線形トレンドを除く”

SAC> taper        
”データの両端にテーパーをかける”

SAC> transfer from polezero subtype CMG40_BHZ.pz
"CMG40_BHZ.pzに記されている応答関数を取り除く”

SAC> hp co 0.02 n 4 p 2 
"コーナー周波数0.02Hzの位相変化ゼロのハイパスフィルターをかける”
(0.02Hzよりも高周波の振動は通過、0.02Hzより低周波の振動は遮断)

SAC> lp co 1 n 4 p 2
"コーナー周波数1Hzの位相変化ゼロのローパスフィルターをかける”
(1Hzよりも低周波の振動は通過、1Hzより高周波の振動は遮断)

SAC> p1
"これが出来上がり、地動変位の波形”
ここで、応答関数を取り除く前との波形の違いもみてください

◆ 出来たSAC形式の波形データを保存するには
SAC> write 保存先となるファイル名

◆ 画面にプロットする横軸の時間の範囲を時間1と時間2の間へ変更するには
SAC> xlim  時間1  時間2    
”時間1 時間2 に変更したい横軸の範囲の最小値と最大値をいれる”

◆ プロットしている図をポストスクリプトファイルに保存するには
SAC> bg sgf
"画面に図を出す代わりに、f001.sgfというファイルに出力する指示”

SAC> p1   
”注意:画面には図がでない”

SAC> bg x
”画面に図がでるように戻す”

SACを終了したあと、
sgftops f001.sgf  ポストスクリプトファイル名
とすると、ポストスクリプトファイルができます。

◆winから作ったSACファイルを、gnuplotで使えるファイルに変換するには
cp /home/seis/kuge/bin/sac2gnu .

./sac2gnu

とすると、

変換するSACファイルの名前
データの成分名(uか、nか、eのいずれかを入力)
変換した結果を出力するファイルの名前

の3つを順に聞いてきますので、端末からいれてください。

◆sacでwを使って作ったSACファイルを、gnuplotで使えるファイルに変換するには
cp /home/seis/kuge/bin/sacw2gnu .

./sacw2gnu

とすると、

変換するSACファイルの名前
データの成分名(uか、nか、eのいずれかを入力)
変換した結果を出力するファイルの名前

の3つを順に聞いてきますので、端末からいれてください。

◆SACの使い方マニュアル (2018年12月5日追加)

・防災研究所の澁谷先生の「実践実用地震学」レジュメ
・SACの簡単な使い方の例
・オリジナルのSACマニュアル(英語)