課題演習DC「地球の鼓動を探る」:モデリング編
◆◇◆北朝鮮の核実験による地震動を調べる◆◇◆
2017年11月15日〜12月6日(4回)久家慶子担当
(Last Modified: November 1, 2017)

2017年9月3日日本時間で12時半ごろ、北朝鮮で核実験が行われました。 その地震動は世界の地震計で記録されました。

アメリカ地質調査所(US Geological Survey)が決めた震源の位置は
北緯 41.33° 東経 129.03° 深さ 0 km
震源時は、
12時 30分 01.77秒 (日本時間)
です。 実体波マグニチュードmbは、6.3です。

夏季実習で本堂トンネルに設置した広帯域地震計も、この地震動を記録しました。 今回の演習では、このデータから核実験の地震動の特徴を調べます。

左図:赤三角印が阿蘇の本堂、黄星印が核実験の推定位置。

震源と本堂との距離は8.6°(956km)、 震源からみた本堂の方位は北から時計回り(東まわり)に168°です。
P波とS波が本堂に到達するにかかる理論所要時間(理論走時)は、 ak135という世界標準1次元地震波速度モデルの場合で、 各々、125.7秒、224.7秒です。
UC Berkeleyのグループが推定した核実験のモーメントマグニチュードMwは、5.2です。

【1】 阿蘇・本堂の観測波形をみる

地震学でよく使われるSACというソフトウェアを使って、 核実験のデータと、 距離が似ている小笠原諸島の自然地震のデータをみて、 その違いを見てみましょう。

比較する自然地震の震源は
2017年 9月 28日 20時 29分 46.9秒(日本時間)
北緯 28.75° 東経 140.45° 深さ 12.0km モーメントマグニチュードMw 5.5
震央から本堂までの距離は 9.0°です。
P波とS波が本堂に到達するにかかる理論所要時間(理論走時)は、 各々、130.4秒、232.2秒です。

吉澤(2008)Fig.4のような図をつくります。
阿蘇のデータがあるサーバにログインして、 作業を行ってください。

SACの中で南北・東西成分をradial・transverse成分に回転し、 同じ縦軸スケールで上下動、radial、transverse成分を プロットしてください。
P波、S波、Lg波、Rg波がどのように見えるか、 2つのケースで比べてください。

Lg波は地殻内を広角・全反射しながら伝わるS波です。 Lgの群速度は2.8~3.5 km/s程度。
Rg波は大陸表面を伝播するレイリー波です。 日本周辺では、Rgの群速度は、周期1.6~7.8秒で2.6~2.9km/s程度。

データの場所やSACの使い方などはココ
SACで東西・南北成分の波形をradial・transverse成分に回転する方法はココ
サーバへのログインやwin形式のデータを扱うコマンド等は、 第1回目の演習のメモにあります。 ココ
postscriptの図の表示とファイル転送の方法はココ(11/20追加)

【2】 Pn/Lgの振幅比を求める

上下動のデータを用いて、 Shin et al. (2010) Fig.3にあたる振幅比を算出してみましょう。

データファイルから Pn、Lgの部分を切り出して、FFTでフーリエ変換し、 周波数に対して振幅の比を計算するプログラムをつくります。

FFTのサブルーチンのありかと使い方はココ
FFTにかけるデータの時間の長さをPnとLgで同じにすると、比の計算が楽です

【3】 1次元構造の理論波形を計算する

例などの情報はココ

【4】 パラメタによる理論波形のちがいをみる

震源の深さ、モーメントテンソル、地殻の厚さなどを変えて 理論波形を計算してみましょう。
P波、S波、Lg波、Rg波はどのように見え方がかわるでしょうか。
【1】の観測波形の特徴は、どのようなパラメタの設定で おこりやすいでしょうか。

【レポート締め切り】 (2017年12月4日追加)

2017年12月22日(金)23:59

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